「シャツが買えなかったせいで、寒かったら言ってくれ。
俺が……
いや、俺のコートを貸してやるから」
私は今、消えていった『俺が……』のつづきの方が聞きたいんですが。
途中で言葉を止めるのは、やめてください。
かえって妄想が駆け巡ってしまうではないですか。
そんなことを思いながら、あやめが沈黙していると、基が、
「あやめ、俺といるのは楽しくないか」
と訊いてきた。
「なんでですか」
「さっきからずっと、お前が緊張しているように見えるからだ」
「……そのようなことはありません」
はたから見ていたら、二人で抹茶ぜんざいを見つめて、目も合わせない不思議なカップルだっただろう。
ずっとぜんざいを凝視しつづけるので、店員さんは、異物混入かとハラハラしていたのに違いない。
――と宿に着いてから気がついた。
俺が……
いや、俺のコートを貸してやるから」
私は今、消えていった『俺が……』のつづきの方が聞きたいんですが。
途中で言葉を止めるのは、やめてください。
かえって妄想が駆け巡ってしまうではないですか。
そんなことを思いながら、あやめが沈黙していると、基が、
「あやめ、俺といるのは楽しくないか」
と訊いてきた。
「なんでですか」
「さっきからずっと、お前が緊張しているように見えるからだ」
「……そのようなことはありません」
はたから見ていたら、二人で抹茶ぜんざいを見つめて、目も合わせない不思議なカップルだっただろう。
ずっとぜんざいを凝視しつづけるので、店員さんは、異物混入かとハラハラしていたのに違いない。
――と宿に着いてから気がついた。



