100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「シャツが買えなかったせいで、寒かったら言ってくれ。

 俺が……

 いや、俺のコートを貸してやるから」

 私は今、消えていった『俺が……』のつづきの方が聞きたいんですが。

 途中で言葉を止めるのは、やめてください。

 かえって妄想が駆け巡ってしまうではないですか。

 そんなことを思いながら、あやめが沈黙していると、基が、
「あやめ、俺といるのは楽しくないか」
と訊いてきた。

「なんでですか」

「さっきからずっと、お前が緊張しているように見えるからだ」

「……そのようなことはありません」

 はたから見ていたら、二人で抹茶ぜんざいを見つめて、目も合わせない不思議なカップルだっただろう。

 ずっとぜんざいを凝視しつづけるので、店員さんは、異物混入かとハラハラしていたのに違いない。

 ――と宿に着いてから気がついた。