山の天候は変わりやすい。
基がスキーが上手いので、つい張り合って滑っていて、悪天候に見舞われた。
吹雪で視界が悪く、今戻る場所がわからなくなってしまったのだが。
所詮は、スキー場の中のこと。
スマホで連絡を取ると、近くのスタッフ用エリアに小さな小屋がある、と教えてもらえたので、なんとかそこへたどり着き、小屋でじっとしていた。
だが、そこは本当にただの物置のようで、狭いし、寒いし、防寒具も暖房器具もなにもない。
しかも、吹雪が止んだら、すぐに戻れると思っていたのだが、なかなか止まない。
あやめと基は二人で、ダンボールの隙間に挟まっていた。
スペースがそこしかないのもあったが、そういう場所の方がちょっとあったかい気がしたからだ。
「ホームレスの方とか、新聞紙やダンボールで暖をとられるらしいですしね」
「わびしくなるから、やめろ」
と言われ、しばらく黙っていたが、沈黙に耐えきれないあやめは、また、口を開いた。
「専務、お腹空きましたね」



