100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 うん、と基は深く頷き、言ってきた。

「この旅の、何処でお前を口説いたらいいのかと思ってな」

 専務、此処、境内です……。

 しかも、観光寺なので、むちゃくちゃ人が行き交っています。

 ちょうど基の言葉が聞こえたらしい老夫婦が、思わずと言った感じで、こちらを振り返っていた。

 そういえば、此処は精進料理で有名な寺だった。

 銀杏の季節ではなくとも、訪ねてくる人は多いのだろう。

 周囲の観光客がみな聞いている気がして恥ずかしく、うつむくあやめに、基が言ってくる。

「俺のような人間が、誰かを口説こうとかおかしいか」

 いえ、そうではなくて、場所がですね、ちょっと――。

 ある意味、すごい人だな、とあやめは思っていた。