100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「あ、ありがとうこざいます、専務。

 でも、ほんとにもういいです。

 戻りましょう」
と説得し、一緒に戻りながら、あやめは思っていた。

 桜も銀杏も見られなかったけど。

 でも、この季節で、ちょっとよかったな、と。

 専務のあたたかそうなグレーのロングコート。

 よく似合ってて格好いい。

 黒の革の手袋も素敵だ。

 ……いや、それで惚れるとかではないのですが、と誰にともなく言い訳しながら、左右を草に囲まれた小道を歩いていたのだが。

 緊張感が少しほぐれたせいか、さっき通ったときには、目に入らなかったものが見えてきた。

 草むらに、転々と小さな石仏があって、いい雰囲気だ。

 苔むした石仏には全部、番号がふってあるようだった。

 柔和な顔の石仏を見て微笑んだあやめに気づき、基が足を止める。