いきなり、専務と旅に出ました――。
『襲うぞ』
とか冷静に言われたことが気になってはいたのですが。
よく考えたら、家にいても、同じことだし。
などと自分で自分に言い訳しながら、あやめは列車に揺られていた。
気象庁の人間はやはり天気を変えられなかったようだ、
とあやめは田園の広がる窓の外を見る。
ぽかぽかした日差しが窓から差し込んできていて、眠くなるが。
窓を開けたら、きっと凍てつく冬の風が吹き込んでくるのだろう。
「冷凍みかんが食べたくなりますね。
こういう電車に乗ると」
とあやめは、向かい合わせの席に座る基を見た。
「冷凍みかんとか、いつの時代の人間だ」
とふたりきりの旅行だというのに、いきなり罵られる。
「いや、売ってますからね、コンビニで~」
とあやめは言い返した。



