「すまなかったな、内藤。
ちょっと厄介な古い友人が……」
基は騒がしい朔馬が帰ったあとで、内藤に、そう謝りかけて気づいた。
「待てよ。
あやめと結婚したら、あいつ、俺の親戚になるのか?」
「それは、かなり残念なお知らせですね」
と内藤が言う。
「専務」
なんだ、とデスクの椅子に腰を下ろしながら基は返事をする。
「専務は、古川の何処がいいんですか?」
何処がってな、と思いながらも、考えてみた。
「あやめは雪山で遭難しかけたとき、遠慮する俺の口に自分のチョコを無理やり押し込んできたんだ。
『いいから、ごちゃごちゃ言わずに食べてくださいっ』
と言って。
あのときのあやめは、天使のようだった――」
「いやそれ、上から叱りつけてきたんですよね?
どんな天使ですか。
専務はドMですか」
と言われる。



