夕食時、基はあやめが楽しそうに高倉と話しながら食事しているのを眺めていた。
いつもより、楽しそうだ。
なにやら解放感まであるぞ。
やはり、旅に出るつもりなのか?
……誰と?
と、まだ訊けずに思っていたとき、あやめが食事を終え、立ち上がった。
「じゃあ、ご馳走さまでした。
専務、お先に失礼します」
とこちらに向ける笑顔まで、いつもより穏やかだ。
どうした。
なにが吹っ切れたというんだっ、と思ったとき、あやめがテーブルの端に置いていた問題の旅行雑誌を手にした。
伏せてあったので、表紙も見られなかったな、と思ったとき、ひらりと舞い落ちた紙があった。
あやめが、おっとっ、と言った感じで、そのコピー用紙らしき紙を拾う。
びっしり細かく書かれた時刻が見えた。
何パターンもある。



