100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「……はい」

 警戒しているあやめの返事は前回より短かった。

 基は、そうか、と頷いたあとで、

「まあ、気負わず、頑張りなさい。

 新しいところに変わると、すぐには休みも取りにくいだろうが、遠慮せず、浜波にでも相談して」
と上司の威厳を保ったまま言うと、あやめは少し警戒を解き、

「はい、ありがとうございます」
と礼を言ってきた。

 が、基は内心。

 実際のところ、今、休みとれないだろう。

 旅に出るとしても、一泊か? あやめ。

 などと悲しい計算をしていた。

「浜波に言いにくいようなら、私に直接言ってくれてもいいから」

 ……休みをとるときは、必ず、俺に言えよ。

「たまには実家に帰って、親御さんに顔でも見せてあげなさい」
と言うと、あやめは、

 いや、この間、帰ったばかりですよね、という顔をしていた。