しばらくして、
「おつまみ、おかわりいかがですか~?

 な~んて」
とか言いながら、様子を見にきたらしい高倉が笑いながら入ってきたようなのだが、二人とも、映画に見入っていた。

「あっ、なんなんですかっ。
 せっかく暗がりで昔の映画とか見せて、いい雰囲気にさせようと思ったのにっ」
と文句を言う高倉に、基が言い返していた。

「お前がミステリーにするからだろうがっ」

 二人とも、犯人が気になって、途中から、無言で映画を見てしまっていたのだ。

「毎度、映画の選択、間違ってますよねー」

 特に面白い展開になっていなかったせいか。

 おかわりいかがですか、とか訊いておいて、高倉はさっさと出て行こうとする。

「いや、映画選んでんの、お前だろっ」
と基は言ったが、もう高倉の姿はなかった。