なんてこと言い出すんだ、この人は、とあやめは思っていた。
今、私に決断しろと言うのか。
「え、映画見ませんか、映画。
せっかく、高倉さんが用意してくれたので」
と慌てて、誤魔化すように、あやめは言う。
「……そうだな」
と基は言って、前を向いてくれた。
いやいやいや。
人の話は最後まで聞いてくださいよ、とあやめは基の横顔を見ながら思っていた。
最終面接で初めて見たあなたは、びっくりするくらい綺麗な顔をしていて。
ほとんど発言しなかったくせに、どすっと胸に突き刺さるような質問ばかりしてきたんですよ。



