あやめがデスクで溜息をついていると、なにやら楽しそうに浜波がやってきた。
「古川ー。
なにか悩みごとー?」
「はあ、そうなんです」
と浜波の方に向き直り、あやめは訴える。
「実は、昨日の夜から悩んでるんですけど」
と切り出すと、浜波は、いかにも頼りになる先輩風に、うんうん、と頷いて聞いてくれる。
「浜波さん。
化粧水の瓶って、いつ、捨てたらいいんですかね?」
浜波の頷きが止まった。
「あれって、振ったら、いつまでも、なにかが出てきて、いつ捨てていいのかわからないですよね?」
「なにかって、化粧水でしょ。
っていうか、確かに振ったら、いつまでも出てくるけど。
オフィスでの肌の渇きを癒すほどには出てこないわよ。
今すぐ買い替えなさいっ」
と怒ったように浜波に言われる。



