100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 




 夜、ベッドに入って、あやめは思う。

 なんなんだろうな、あの人は。

 ビクつきながらも強引。

 仕事中の強引さが日常生活に、つい出てくるのだろうか。

 それにしても、あんな人に、いきなり、好きだとか言われてもピンと来ないんだが……。

 もともとはただ雪山で助けられた―― いや、助けたという感じでもないのだが、

  感謝の気持ちだけだったのに、誰かになにかを吹き込まれて、恋愛だと思い込んでいるのでは、とあやめは疑う。

 誰かになにか、というところで、高倉の顔が浮かんでしまった。

 そのとき、廊下から足音が聞こえてきた。

 ……誰だろう。

 頭の中では、見知らぬ男が廃墟でカンテラを持って歩いていたが。

 此処は廃墟ではないし。

 暗いのも、この部屋の中だけで、廊下は灯りがついているはずだ。