100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「殺さないでください……」

 ……いや、ほんとに。

「許嫁とは名ばかりで、俺は承知していないし、二人で会ったこともない」

「でも、許嫁の人が乗り込んできたらどうします?」

「殺そう、二人で」
と基は、あやめの手を握ってくる。

 思ってたより危険な人だな、とあやめは思った。

 真面目な分、感情が突っ走り出したら止まらないようだ。

 様々な複合的な理由がなくとも断りたい……。

「でも、その許嫁の人がいい人だったらどうします?」

「どうした。
 こだわるな、許嫁に」

「いや、あのー。
 普通の人間だったら、自分にプロポーズしてくる人間に許嫁がいたら、こだわると思うんですよね」
と言うと、

「わかった。
 今から、その話は断ってくる」
と基は、今すぐ出て行きそうな感じで、階段の方に向かおうとする。