「ほう、うちに産業スパイか。
お前か?」
と基は真っ先にあやめを疑い、訊いてきた。
「なんでですか?」
とあやめは訊き返す。
動物園のど真ん中にある、お弁当も食べられる中央広場にあやめたちはいた。
基が突然、昼に、みどりやというところのお持ち帰りの寿司が食べたいと言い出したのだが。
それが動物園の側にある店だったので、いつの間にか、動物園の中で食べることになっていた。
「そういえば、此処までの流れが出来すぎてて、怪しいな。
すべて計算ずくで俺に近づいたとか」
「いや、私が産業スパイだったとしても、びっくりな展開で、あなたの家に住んで。
今、此処でお寿司食べてるんですけどね」
会社の昼休みだと言うのに、背後でランオンが唸り、ゾウが、ぱお~んと鳴いている。



