さて、今日から専務の秘書。
先輩秘書の浜波さんとかにビシビシやられる厳しい日々が待っているのだろうと覚悟していたのだが。
蓋を開けてみたら、全然違った。
「どうだ。
仕事には慣れたか?」
浜波に命じられ、明るい日差しの差し込む専務室に書類を持っていくと、基がそう訊いてくる。
「いやー、もう、慣れるっていうか、なんていうか。
快適ですっ」
とあやめは強く訴える。
「専務の秘書の方は、みなさん、仕事ができるので、なにごとも効率よくてサクサクというか。
下に居たとき、えー、これ、そこまでしなくてもーとか。
そこ、こだわるところじゃないですよねーとか思ってたところが、バッサリ省略されてるし」
とつい、大きな声で言ってしまった。
廊下を通る、今まで仕事を手伝っていたよその秘書の人がいるのではないかと、思わず、辺りを窺う。



