結局、基に、おごってもらって外に出る。
「ごちそうさまでした。
でも、あの、社内ではあまり、接触してこないでくださいね」
と別れ際、あやめが言うと、
「……どんな秘書だ」
と基が言う。
「私、会長の秘書で、あなたの秘書じゃありませんから」
と言ってやると、基は、あやめが言うところの、なんだかわからないけど、すごい車のドアを開けながら、
「そうか。
じゃあ、お前を俺の秘書にしてもらおう」
と言い出した。
……は?
「会長、どうせ、ほとんど出てこないからな。
そんなに秘書いらないだろ。
これでまた、お前の願いごと、ひとつ消えたな」
「いや、それ、私、願ってないですよねーっ。
ちょっとっ、専務っ」
と叫ぶあやめに、さっさと車に乗り込んだ基は窓を開け、
「遅刻すんなよ、秘書」
と言って、さっさと行ってしまった。



