「あやめ様、お車で行かれるんじゃないんですか?」
基が出たあと、あやめが出かけようとしたら、玄関前にいた高倉がそう訊いてくる。
「ああ、新幹線に乗るし、バスにしようかなーって」
「じゃあ、買い出しのついでにお送りしますよ」
と厨房から預かったメモを手に、高倉は言う。
「ありがとうございます」
「よし、あやめ様を乗せるのなら、デカイ車でいいですよねー」
と鼻歌を歌いながら、高倉は大きな黒い国産車を出してくる。
まさか、そっちに乗って出かけたくて、私を誘ったんじゃないだろうな、と苦笑いしながら、あやめは、高倉に勧められるまま、後部座席に乗った。



