あやめの部屋に入った基は、自分が買ってやった、ちょっとお姫様風のイメージの白いベッドにあやめを降ろす。
……黙っていれば、眠り姫みたいなんだがな。
口を開いたら、相当ロクでもないが。
それでも、そんな風に見えるということは、あやめの中にも、そういう物静かなお姫様的なところが潜んでないこともないのかもしれない。
……潜みすぎだ、出てこい、と思いながら、基は、しばらく、あやめの寝顔を見つめていた。
やがて、
「おやすみ」
と言うと、聞こえたのか、あやめの口許が少し笑った。
その安心しきった表情が、この上なく可愛らしくて、吸い込まれるように身を乗り出しかけたが、なんとかこらえる。
「おやすみ」
ともう一度言い、行こうとしたとき、後ろから、はっきりした声が聞こえた。
「専務」



