「何故、家の中でお前を背負って帰らにゃならんのだ?」
基は背中のあやめに文句を言いながら、長い廊下を歩いていた。
酔っているせいか、余計重く感じるな、と思ったとき、あやめが言い出した。
「何故、私は此処にいるんでしょうね~?」
呑気な奴だ、と思いながら、基は訊く。
「この家にか。
俺の背中にか」
「どっちもですよ」
と言ったあとで、あやめは、うーん……と小さく唸り、
「なんだかこっちが罠にはまった気分です……」
と呟いた。
その言葉がなんだか気になり、
「……どっちが罠にはまる予定だったんだ?」
と訊いてみたのだが、あやめは寝ている。



