なんの吊り橋効果もないようだが、と大層くつろいだ様子のあやめを見ながら、基は思っていた。
高倉が、
『二人で怖い映画とか、ハラハラするような映画なんて、見られてはどうですか?
あやめ様は、そういうの苦手みたいですよ。
吊り橋効果的に上手くいくかもしれませんよ』
と言ってきた。
いや、別に、こいつと上手く行きたいわけではないし。
そういう理由で、此処に住まわせているわけでもないのだが……。
っていうか、お前、なんで、あやめがそういう映画が苦手だと知ってるんだ? と今更ながらに、基は思っていた。
あやめは、横で、平気でチョコを食い、ぐびぐび酒をいっている。
くつろぎまくってるじゃないか、と思う基は、あやめが、さっき、同じシリーズの恐竜映画で夕食を食べさせられ、耐性をつけられていることを知らなかった。



