そのあと、風呂に入ったあやめは、ふうーと息をついたあとで、はっ、と周囲を見回す。
気を抜くと、何処かから、恐竜が出てきそうな気がしたからだ
親切でやってくれたのだろうから言えなかったが、なかなかホラーな夕食だった、と思いながら、風呂から出ると、誰かがノックしているのが聞こえてきた。
「はい?」
と扉の近くまで行き、返事をすると、基が顔を覗ける。
「起きてたか」
ともこもこパジャマに包まれたあやめを見て言った。
「はい、まだ眠くないので」
と答えると、少し沈黙したあとで、基が訊いてくる。
「月曜から、うちに来ることになるが、大丈夫か」
「はい、よろしくお願いします」
そう言い、あやめが頭を下げると、うん、と頷いたあとで、基は言った。
「映画でも見るか」



