「そうよ、だからなに?」
と内藤は耳を引っ張られていたが、浜波がいなくなったあとで、こっそりと言ってきた。

「本当は、浜波さん、人に仕事任せられない人なんだよ。
 ああ言って、自分に暗示かけてんの。

 この子に仕事任せても大丈夫なはずって」

「それはそれで大変な先輩ね……」

「仕事抱え込みすぎて、許容量越えてブチ切れるなんてことは、そうそうないが。
 まあ、気をつけろ」

「ご忠告ありがとう」
となんとなくそこにあったので、感謝の意を込めて内藤の手を握ってみたが、

「……やめろ。
 専務に殺される」
と言われてしまう。