まさか、100個の願いのあとの代償が私ってことはないですよねー、なんてことは訊けない。

 莫迦か、と切って捨てられそうだ、と思っていたのだが。

 まだ、そんな話もしていないのに、あやめが見つめていただけで、基は、

「意味もなく、ずっと見てるな。
 不愉快だ」
と言ってくる。

「……すみません」

 基はデザートを待たずに、立ち上がり、さっさと出て行こうとした。

 すると、季節のフルーツを持ってきた高倉が振り返りながら、基に言う。

「デザート、お部屋にお持ちしますねー」

「いらん」
と素っ気ない声が廊下から聞こえてきたが、高倉は笑っている。