コツン…コツン…。





静かな京の街に足音が鳴り響く。



深緑の短い髪に青い着物がふわりと揺れる。




(…どれだけ歩いたかな。)





何軒も何軒も家を訪ねてまわった。





どの家でも追い払われたけど。




彼処で最後にしよう。





コンコンコンコン。





「…あの…。どなたかいらっしゃいませんか?」





返事がない。

(まぁ、こんな夜中だし当たり前か。)






「…誰だ。」






中から男性の声がした。


ガチャリ。


扉の開く音がして、中から顔をのぞかせたのは、

綺麗な顔立ちをした人だった。




「あ…私は桜坂雪花と申します。
一晩だけ泊めていただけないでしょうか?」




(これで断られたら野宿でもしよう。)




「…お前、長州の者か?」




「長州?いえ、違います。」




「…良いだろう。上がれ。」




「あ、有難う御座います。」




雪花は門の中に入った。










その瞬間雪花の意識は途絶えた。