超然とした笑みを浮かべて、良悟くんが冗談交じりに言う。

 もちろん気になったけれど、私にとってもこの話題は深く追及されたくなかったので、流すことにした。

 その後、購買部についた私と良悟くんは、売れ残ったパンをなんとかゲットして教室へと戻った。

 その良悟くんと、他愛のない話をしながらパンを食べる光雅くん。

 気になってちらちら彼の方を見てしまうけれど、彼が私の方を見ることは無かった。


「あれ、紗良。今日はパン一個だけー? 足りるの? しかもそれもまだ全然食べてないじゃん」

「う、うん。今日はあんまりお腹すいてなくて。あ、でも具合悪いとかじゃないから、大丈夫だよ」

「そうー?」


 全然食が進まない私に向かって芽衣が心配そうな顔を向けたけれど、私は必死に笑みを作ってそう答えたのだった。

 泣きそうになるのを密かに堪えながら。