愛は惜しみなく与う③


泉の前で急に脱ぎ出した奴!
とか変な風にみんなに言いそうやん

あたしの嫌な想像とは違い、新は違うことを思っていたらしい


「朔も慧も、嫉妬して怒りそうですが…」


ボソっと言う新の声は聞き取れなかった


「杏って、ほんと鈍いですよね」


この言葉は綺麗に聞き取れた
鈍い
たまに言われるけど、そう思ったことがない


「鈍いって思うのは、新の勘違いやで?」

「いえ、勘違いではありません。確信してますので」

「どこが鈍い?」

「…人の気持ち?」


ガーーーーーーン

それは泣きそう


「人の気持ちに鈍いって、空気読めへんってこと?人の気持ちも考えれへん奴ってこと?うぅ…うわーーーーん」


居た堪れなくなり、泣き真似して走り去ってやろうかと思ったけど、すぐに「待ってください」と腕を掴まれた

「そう言う意味じゃありません」

「そういう意味以外に捉えれません」

はぁ
大きなため息をつかれて、ほら、切って!と包丁を手渡された


「空気は読めます。みんなのこといっぱい考えてくれてるのも知ってます」