愛は惜しみなく与う③

まだ火照ったままの身体が、すっと冷えていく


「もしもし?どうしたん?」

『すみません。蕪木組の家の前までついたんですが。入っていいんでしょうか?』

「ん!ええと思う」

『思うじゃなくて、ちゃんと聞いてるんですよ?急に入って撃たれたらどうするんです?」

「避けろよ。それくらい」

『はぁ…泉に代わってもらえます?」


あたしじゃダメなら、先に泉に電話したらええやん!
志木は珍しく人を呼び捨てで呼んでいる。
朔でも、朔さんゆうてんのに。

歳も近いしあれか?仲良くなれたか?

まぁ、志木が泉を御所望みたいやし、泉に電話をかわろうと、近づくと


「は??どこで?どこの病院?」


泉の大きな声が聞こえた

只事ではない雰囲気に、心臓が早くなる


「どしたん?」

「…朔が襲われた」


え?朔?蕪木組の中で?
朔は今、響と白瀬さんと一緒に居るんじゃないの?

スピーカーにすると、電話は朔本人からだと分かる


『わりぃ。コンビニにみんなのアイス買いに行ってたら、急に。油断してた』


「家から近いコンビニか?誰か相手わかるか?」