愛は惜しみなく与う③

「サトルは杏様を良いのか悪いのか、直接傷つけることはありません。
サトルはきっと、杏様を追い詰めて追い詰めて、杏様の口から……自らサトルを求める言葉がでてくるように、すると思います」


それは、きっと


「俺たちが人質に取られたり、周りを守ったりするために……杏は、サトルのところへ行くってことだな」


俺たちが弱いと、杏を縛ってしまう。
俺たちの事を考えるなと言っても、考えてしまうのが杏だから


「正直、サトルへの復讐を目的にしてますが、私は今こうやって、楽しくできる場所があるなら、あの事件のことを忘れて欲しいくらいです。

でもサトルがそうはさせてくれません。

ハッキリと話した訳でもないですし、なぜ彼がここまで杏様にこだわるか分かりませんが」


そう
これは杏もわからないと言う。

なんでこんなことになってるのか

サトルは何をしたいのか



志木さんは、ため息をついて言った




「自分の手でボロボロになった杏を、俺のものにしたい」



一度だけ、そうサトルに言われたことがあると…