隣に座る朔を見る


「な、なんだよ!」


「いや…よくお前のせいで、俺殴られたなって」


昔のことをほじくるな!と朔は怒ったが、昔ではない。今年入ってからも、朔が暴れたせいで俺は無抵抗で殴られている

まぁいいけど

こんなことは、普通によくある世界だ

杏と俺たちはその世界にいる



「杏様は、どういうことか、喧嘩のセンスがありまして…あれはもう独学と言いますか…こんなお転婆に成長させるつもり、無かったんですがね」



杏様は、頼って欲しいという私の気持ちに反して、どんどん強くなっていってしまいました。

そう志木さんは
悲しそうに話した


「こんな言い方すると良くないかもしれませんが、身体の傷はまだいいんです。いつか治りますから。でも心の傷は治りません。

杏様は、今回のことで…きっと、言わないでしょうけど、心に傷を負ってます」


志木さんの言わんとすることがよく分かる

あの時水瀬に

杏は襲われそうになっていた


殴られたり蹴られたりは、、痛いけど、いつか治る


でも、あーいった傷は


なかなか消えてくれない