愛は惜しみなく与う③


「あの、杏の話は、しっかり話聞きたいんです。だから教えてください。

どうして俺に、そんな大事な話してくれるんですか?」


さっき俺、殴りかかられたよな?
嫌われてると思ったし、杏のためなら、死も惜しくない。そんな人だったのに


杏と何かあったんだろうか
物腰が柔らかくなって、目にも鋭さがない

そこにいるのは、志木という、杏を心配する1人の男



「……貴方、むかつきますね」


「は?」



「なんで教えるかって?そんなもんとりあえず黙って聞いてろよ。こっちは時間もないし、お前みたいなガキしか、使えるやつが居ねーんだよ」


な!な!なんだよ!突然話し方も変わり、悪態をつく。

俺悪いところあったか?


「ふん!認めてやったんだよ。杏を守りたいって気持ちを聞いたから。ムカつくけど……お前の言ってる事は正しかったから。
笑顔にしてやるんだろ?だったらとりあえず黙って聞け。お前になら話せると思ったから話してる。」


それだけだ。
と半ば逆切れされたが、認めてくれたらしい。あの時話した気持ちは伝わったようだ