家族なら、絶対杏が苦しむ姿なんてみたくない。

恋愛なら、そんな悲しい発想にさせないように、支えなきゃいけない。


なのにどちらとも分からず、ちゅうぶらりんのままの私は



杏がするがまま、言うがままに、身を任せた



杏は私を縛ったって言うが、違う。私がそう望んだから。この気持ちをハッキリさせたくなくて、有耶無耶にしていたから。



気持ちに応えられないと言われて、心が軽くなったのは、きっと、全てがふに落ちたから。



恋だの愛だのなくても




杏のたった1人の家族なんだから




だから、家族としてやりたいことがある。
俺はこの数ヶ月、寝る間も惜しんで知らべあげたことがある。




杏の家族である、鈴は、今も生きている。




これは杏には言えない。
家族を守りたいんだ。
ただもう、出し惜しみをしてられる訳じゃない。




「杏様?烈火の総長と2人で話がしたいです」




わんわん泣きまくって、目を腫らした杏は、敬語で話し出した私をみて、首を傾げた


「けじめは大事ですから。今は、杏様へ仕えるものとして、お話ししたいのです」