「大丈夫だよ、杏。杏が結婚しなきゃいけなくなる、その時までに、なんとかするから」



何故か信じて欲しいと言う。
そんなこと出来る訳ないのに。
今から志木が婚約者側の如月財閥の跡取りになるってか?

そんなん無理


でも、志木が笑うから


あたしの頭に大きな手が乗る




「家族だよ、俺たちは。だから、どんな事があっても、俺は杏の居場所だから。変わらず…杏の支えになるから。

今まで弱くしてごめん。俺は本当は、杏が決めたことでも、家族として……
杏が笑顔になる方へ引っ張って行かなきゃいけなかったね。それは許してほしい。

今からでも遅くないなら…いつでも俺を頼って」




初めて志木の心の底からでてきた言葉を聞いた気がして、涙が止まらなかった。



ずっと


ずっと


志木は側に居てくれるから。都合の悪い時は、主従関係で縛った。

志木があたしが悲しい道を選んだ時も、止めてくれた。でもあたしは、それを、拒否して暗い過去をともに背負わせた。


本当なら…


志木にどうしたらいいか、相談したらよかったのに