「んーん？杏は素直で隠し事は下手なのに、ずっと気づいてないふりをしてくれてたのかと思うと、笑ってしまって」


「笑うところ？あたし、何回スルーしたと思ってんの」


「俺は、ほんとに、どんな形でも杏が好きだから。杏が望む形で側にいたかっただけ」


久しぶりに素の笑顔を見た気がする。
爽やかに笑う志木は、昔の面影があった。


「昔さ、『志木はあたしといたらダメになる。あたしと一緒にどんどん落ちていくタイプやな』って言ったの覚えてる？」


志木が昔話をする。
あたしは何度か志木にそう言った内容の話をしている。

あん時は、軽く考えて、ふと、そう思ったから言ってたけど…

最近は、ほんまにそう思う



「俺は、そう言われて、嬉しかったんだ。杏が嫌なことがあった時とか、辛い時、一緒にいてあげれるって思った。
けどな？今日あの泉って奴に言われて気づいた。

杏の側に居なきゃいけないのは、あーいった発想ができる奴なんだなって」


まぁ、俺が杏のそばを離れる訳ではないけどな。そう笑った