「どうして、杏様が謝るんですか?私が勝手にしてしまったことです。あなたが悲しむのはおかしい」

「ちがう。志木をそんな考えにさせてるのは、あたしや」


普通殺そうなんて、思わへん。
憎くてもムカついても、殺そうとはならへん。

そんな発想にさせてしまったのは、あたしのせい。あたしが…


感情的になったあたしが

サトルを殺したい。絶対見つけて殺してやる。

あの日、そう言ったから


「杏様?大丈夫ですか?あなたの御友人と喧嘩したから悲しんでるんですか?それに関しては、私が大人気なかったです」


「大人気ないのは、知ってるけど…」


酷いですね、そう志木は笑った

水瀬のことを感づいて、わざわざ来てくれた。起きたら居るからびっくりした。それも泉と言い争ってるし


「蹴ってごめんな?」

「慣れっこです」


だから杏様は気にしないで。
そう言ってニコニコとあたしを見つめた。


あたしは志木を解放してあげなあかん



「志木?」

「はい、なんでしょうか?」


あたしの手を取り、膝をついて、あたしの前に静かにしゃがむ