でもこの男は違った


杏様と過去を乗り越えて、未来を共に歩いていきたいと言った


復讐しても、杏様は笑顔にならないと。


そんなこと分かってる。


でも


私にはもう、どうする事もできないんです



私だって、笑ってるあなたが大好きです。涙なんて見たくありません。


嫌われたくなどないのです



「志木?サトルのこと、あたしより先に見つけて殺そうとしてるやろ」


「…はい。そのつもりで動いていました」


もうあなたに嘘はつけないから


「はぁ…なんでそんな事。あたし頼んだ?」

「いいえ。私の独断です」

「あたしも、殺したいよ。あの時は、私も殺すつもりであいつを刺した。でもさ?なんの解決にもならへんねん

あたしは…サトルの口からちゃんと聞きたい。どうせ理不尽な理由やと思う。けど、何が起きてるか、分からへんまま悩むのは嫌や。

あたしのせいで、誰かが傷つくのはもっと嫌や」


ごめんなさい、杏

あなたの気持ちは分かります。


嘘はつきたくない

先に見つけて、サトルを殺してしまおうとしていたのは事実です