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「杏様…」

「何でそんな泣きそうな顔してんの?向こうで何かあった?」


心配そうに私の顔を覗き込む杏を、そのまま連れ去ってしまいたい。

その瞳に、私以外うつさないで欲しい


「で、2人なら話せる?なにを心配してるん?」


「…スコーピオンに近づいてきたので、警戒しているだけです」


「いやいや、そんなん通用せんやろ。おかしいもん、なんか」



こうやって、変化を気づいてくれる杏。
私が口をつぐんでも、呆れずにしっかりと、どうしたのかと問うてくれる

本当にあなたが、大事なんです




「水瀬に辿り着くのが遅くてすみません」

「志木のせいちゃうよ。紗羅ちゃんのこと、もっと警戒したかなあかんかっただけやし。
それに、江森紗羅って志木に聞いた時に、すぐに泉に言っといたらよかった。
そしたら、あの椿って女と、関係があったと分かったのに」


やめてください
他の男を頼るのは

泉とは、あの烈火の総長
もっと頼ればよかった。そう言う杏。

椿という女と過去に何かあった響という、幹部のことも、今、杏は考えている