そう思い
振り返ると何故だろうか



男達は笑っていた



「杏ちゃんコッチ!」


突然走り出した紗羅ちゃんに腕を引っ張られて、行きたい方向とは別の方へ身体が動く


「ちょ、ちょ!公園いくんやろ?」


「あの人たち、公園の方から後つけられてたから」

え?そうなん?


「いや、でも。逃げなくていいよ。悪いことしてるのコッチじゃないし。戻るで」


手出してきたら自己防衛するだけやし。
山道の方へ歩こうてする紗羅ちゃんを引っ張って、元の場所に戻ろうとしたが、紗羅ちゃんは足を止める

えっと?


「怪我した?」


下を俯く紗羅ちゃんの顔を横から覗き込んでみると、なぜか涙を流していた


「え?待って?どういうこと?ごめん。何かされてた?」


ポロポロと溢れる涙
ハンカチなんて女子らしいものが入っていないこの鞄
紗羅ちゃんの涙を拭うものは無い


「違うの…」


なにこれ
泣いちゃうような出来事あった?
突然の出来事に戸惑い、そしてあたしは、周りへの注意を欠いていた




「ごめんね、杏ちゃん」




最後に見たのは、涙を浮かべて、笑った紗羅ちゃん

そして身体に痺れる痛みを感じて、あたしは地面に倒れた