「ごめん、泉。ちょっと目を離したら女がいなくなってた。今から杏のいるところに戻るから」


『…駅前のトイレだな?俺も向かってるから。もう手段は選ばなくていい。杏が怒ろうが、あの女は殴ってでも捕まえろ』



わかってるよ

杏に何かしたら許さない


「おい!状況は?」

「…杏が駅前のトイレに鞄取りに行ってる。すぐそこだから!」


一直線の道にでると、トイレが目視できる
雨はまだ降り続けるが、傘なんてさしてられない。


「ごめ、先行って!」

朔の方が走りが早いから
チラリとこちらを見て、バッと走っていく。


電話を片手に走りにくい


「ごめ、俺も切るね!できるだけ…すぐ来て」


『あぁ、勿論だ』


泉との電話を切り、今度は杏にかける

でてくれ。頼む


願いも虚しく、杏は電話に出ない


「おい!トイレに居ねーぞ!!」


女子トイレから朔が出てくる。
周りの人は何事かとキョロキョロこちらを見ている。
誰か…見てないかな


「すみません!金髪の髪の短い女の子、この辺居ませんでした?」

手当たり次第に尋ねる。
女に声をかけることも躊躇わない。

どこだよ、杏