「響くん?隣いい?」

ビクッとしてしまったが、大丈夫
突然の長谷川の声に驚いたけど、泉や杏に話して少し気が楽になったのか、吐き気はしない


「…なに?」

「あたし、何か君に悪いことした?」


それならごめんね?
眉を下げて謝ってきた

想像してたのと違い、肩透かしを喰らった気分だ


「いや、俺、女苦手なんだよ。だからお前も…嫌な態度とっちゃう」


視線を杏と朔に移す
二人とも未だに水溜りに足を突っ込んでいる。
こういうのを見ていると、気が紛れるというか、長谷川にビクビクするのも抑えれる


「でも杏ちゃんには、普通だよね?」

「……別に。杏は違うから」


わざわざコイツに杏とのことを話す義理もないし、知られたくもない
素っ気なく返したつもりなのに、女は隣で笑った


その声に、騒いでいた二人も動きを止めてこちらを見る

な、なんだ?

ゾワっとした




「本当の意味では助けてもらえてないのにね」


俺にしか聞こえない声で長谷川は呟き、杏と朔の元へ走っていった


何言ってんだ?