パッと頬に温かい手が触れる


「顔色悪いよ?やめとく?」


心配そうに覗き込む杏。俺が心配されてどうする。

「大丈夫だよ。行こう」

「……気楽にな」

ポンと背中を叩かれて、杏は朔と女の隣に並んだ


何も起きないといいな


そう思ってる時って、何か起こる。



「俺も近くにいるから。頼んだ」


泉に送り出されて、雨の降る少しひんやりとする外へ出た


夏なのに、少し涼しい
かき氷…食べてみたかった店のやつだけど、素直に喜べないでいる。

あの事件があってから、女が怖い。
でも少しマシになっていたと言うか、ここまで酷くなかった。

長谷川は…怖い

なにを考えているか全くわからないから


「えー?この道右やろ」

「は?左だろ」


いつも通り杏と朔の言い合いが始まる。
朔も杏のことが好きなんだろ?なのになんで、杏に突っ掛かるんだろうか。

恋愛の好きがあんまり分からないけど、朔のは空回りしている気がする。


「ばーか!地図読めねーなら、黙ってついてこい」

そう言う朔に、うっさい!と一言いう杏