「随分真剣に手合わせてたけどそんなに神様にたくさん願ってたのか?
欲張りだな愛美は」

くすりと笑う大翔と二人で過ごす久しぶりの時間。

この幸せな時間を私は記憶にしっかり焼き付けたくて、大翔の顔を見つめ続けていた。

「しょうがないよ。
家族みんなの分もお願いしたんだから!」

「じゃあ俺のことも?」

家族と言った私の言葉にそう聞いてきた大翔にズキンと心が痛んだ。

そんな私の胸の痛みなんて気づいていない大翔は、笑いながらまた手を繋ぎ私たはちは人混みでもみくちゃにされながら体をぴったり密着させていた。

そんな近い距離に私の心臓の音がきこえそうで恥ずかしかった。

繋がれた手にぎゅっと力を込めた。

「そうだよ。大翔は…私にとって家族と同じくらい大事だから。
アメリカに行っても病気しないようにお願いした」

私の言葉に一瞬目を丸くした大翔の顔を、じっと真っ直ぐに見つめるとふぅっと軽く息を吐いて

「俺から話そうと思ってたのにきいちゃったか」

と眉毛を下げて困ったような笑顔をむけた。