"しまった"という顔を一瞬した父は

「俺も年末に佐久間と飲んだときに聞いたんだ。
以前から誘われていたらしいんだがそろそろ愛美も晒名病院に戻す時期だろうから自分の役目はもう終わったから、渡米する踏ん切りがついたって。

それに…ずっと断っていた副医院長のお嬢さんと見合いするみたいだぞ」

「愛美…」

正面に座っていた颯馬の伸ばされた指先が、私の目もとにふれた。


いつのまにか溢れていた涙に颯馬の指が触れてきがついた。

泣いているのだと。

私の目からは涙が溢れてずっと一緒だった大翔が完全に自分のもとから離れて姿を消そうとしていることに
衝撃を受け胸がぎゅっと締め付けられ苦しくなった。