突然の思いがけないはるの行動に今度は私が固まった。

イルミネーションを見に来た今は、あたりは暗くてみんなイルミネーションに目を奪われていて私たちのことなんて視界には入らないだろう。

カップルばかりで寒さもありそれぞれベッタリと寄り添っている。
私たちに注目している人なんていやしないが、街中でキスされるのにはさすがに抵抗がある。

「ふっ、真っ赤。お返しだ」

意地悪く笑うはるに、私は恥ずかしくて抱きついた腕にさらに力をこめて、たくましいはるの胸に赤く染まった顔を埋めた。

『あの…』

呼び止めて差し出した定期なんて目に入っていなかった彼は、目を丸くして固まって真っ赤になった。

そして私をじっと見つめたまま唾を飲み込んだのか喉仏が動くと同時に口を開いた。

『俺と付き合って』

真っ赤になっている目の前の長身の彼を可愛いと思った。

大翔も格好いいが目の前に立つ定期を差し出した彼も大翔に負けないほどのイケメンだ。

私が呼び止めたはずなのに何故か告白されていて、私は彼の手に拾った定期を押し付けて目を反らしてすぐに逃げ出し電車に飛び乗ったのだ。