「駅まで送るから気を付けて帰れよ」

優しく笑う隣を歩く彼にぎゅっと胸が苦しくなる。

「…どうしてわかったの?
私がああいう場が初めてで、苦手で帰りたいって思ってたの」

見上げた長身の彼は、目を細め少し頬を染めて

「…ずっと見てたから。
さっき、言ったのはホントなんだ。店に入ってきた時、一目惚れした。

本当はまだ帰したくない。

でも、縁があれば必ずまた会える。
俺、キミとは必ずまた会える気がするんだよな。

…運命の赤い糸の相手…みたいな?」

「あの、もしかして口説いてます?
っていうか酔ってます?」

「うん、キミの可愛さに酔ってます」

私たちは顔を見合わせて吹き出した。