どうしたのかな。
社長。
いつもと違うみたい。
何かあったのかな?
L字型の大きなソファで、
二人でお酒を飲む。
静けさが意識されちゃう。
「何か話して。
何でもいい」
え。何を話そう。
ていうか、社長ほんとどうしたんだろう。
何か落ち込んでいるのかな。
とりとめのない話。
ごはんの話から、テレビで見た面白い犬の話。
L字型のソファで、社長が背もたれに頭を預け、
寝そべっている。
さとみは、ソファの上でクッションと膝を抱えて、
座っている。
深夜のリビングルームには私の声。
時折
二人が動く衣擦れの音
グラスの氷が溶けて動く音
私の何でもない話に
社長が笑う。
窓に広がる夜景は、消えることもなく
現実感が乏しい夜。
胸に抱きしめたクッションが、
肌に気持ちよくて
もっと抱きしめる
斜め後ろから見える社長の横顔に
甘い気持ちを
視線にのせているわたしに
社長はきづかない



