パジャマ姿の葛西が、部屋を出る。




リビングに近づくと鼻歌が聞こえた。




ん?




ああ、あいつか。




一緒に暮らし始めて




数日たつものも、




あまり気配を感じたことがなかったので、




時々忘れる。




さとみがいることを。





あきらかに、存在を消すように、




努力しているらしい。





まあ。俺が家にいることも少ないけどな。





そうか、今日はさっき帰ったから、




いないと、思い込んでんだな。




こんな朝から何している。




葛西は、腕時計で時刻を確認する





掃除?




あいついつも仕事行く前にしているのか。





本気で掃除で借金分働く気か?