え?
ザブンっ。
お湯が大量に流れ出る。
さとみは、社長に背中を向けているような状態で、
バスタブの中。
社長が後ろから、足の間にさとみをはさむように。
さとみを抱いている。
社長。服着たまま…
ていうか、私はいいけど。
「社長。スーツじゃ」
社長は、下がスーツのズボンにシャツ姿。
わからないけど、一着何十万の代物じゃ。
「どうでもいい。」
こともなげに社長が言う。
「お前ひとりにしたら、
マジで、溺れたりしそうだからな」
そんな。
私ってほんと迷惑かけてばかり。
「ちょっとはあったまってきたか?」
社長がバスタブのお湯の中で、
さとみの手を取る。
芯まで冷えていた体が、
じわじわ
温もりがめぐって
痛いくらい。
あたたかくて
幸せ。
「こんなに赤くしやがって」
社長は怒っているし、
文句みたいな感じで
言葉は怒っているけれど。
さとみの手をマッサージするように、
なでる手は優しくて。
涙が出そうになるのは、
やっと助かった。
って、安心したからなのか。
社長がわたしを
心配してくれてる気がして、
胸がいっぱいになっているからなのかな。



