「……ありがとう」




呟いた言葉は駅のホームのアナウンスにかき消されてしまう。


「え、ごめん。何?」
幸人くんが腰をかがめて、耳を寄せた。
私は少し大きな声で、
「コロッケ、食べようね!!」
と言ってみた。
幸人くんはニィッと口角を上げて、
「オッケー!」
と右手の親指を立てた。


改札を通る。
前を歩く幸人くんの通学鞄には、昨日買った青いウサギが揺れている。

嬉しくて。
くすぐったい。


ホームに電車が到着した。


終わりだ。
そう思った。


長い、長い、私の不登校の日々。



緊張と不安と、興奮。
グルグル回る気持ちを抱えて、私は学校に行く。