メリーゴーランドは空席

「飛行機雲が出来たら次の日、雨降るっていうじゃん?で、ついついボーっと飛行機雲見てたらさ」
幸人くんがそこで言葉を切る。
私は先を促すように、
「うん」
相槌(あいづち)を打った。

「いつの間にか先生の声が消えて」
「え?」

「教室のほうを見たら、授業していたはずの先生が窓の外じっと見てんの」
「飛行機雲?」
少し可笑しい気持ちになって、幸人くんに聞いてみる。

「先生さー、空じゃなくて窓のそばの木にとまっている鳥を見てたんだって」
「えー?」
「その鳥を見ながらさ、『いいなぁ』って言ったんだ」
「?」

「『何が?』ってなるじゃん。先生がさ、『絶対あの鳥のほうが、今の先生よりオシャレだよね』って言って落ち込んでるんだ」
「オシャレ?」