メリーゴーランドは空席

「おいしい」
お砂糖入りのホットミルクに気持ちもほぐれる。

午前10時。
隣に座っているママは私の髪の毛を撫でながら、
「伸びたねー、今度美容院に行く?」
と、さりげなく外出を促した。

「……いいよ、結ぶから」
出来るだけやんわりと断る。
「そう?」
ママは残念そうな顔をした。

前髪が伸びて鼻のあたりまでの長さになっているので、ヘアピンで留めている。
耳にかけてもすぐに落ちてくるので、確かにうっとうしい。

「今日もきてくれるのかな、横峯くん」
ぽつりとママが呟く。
「……」
「ずっと会わないつもりなの?」

幸人くんは中学生の時からずっと、私の家までプリントやノートを届けてくれていた。